花野井(はなのい)
花野井村の吉田甚左衛門家が、文化2年(1805年)に醤油造りを始めた。醤油は造り始めてから製品になるまで最短でも1年はかかるため、ある程度の資金的な余裕があるものが醤油を製造できた。吉田家の場合も、花野井村の名主や小金牧の牧士を勤める富農。幕末の関東醤油番付では西前頭九枚目に位置づけられており、かなりの規模の醤油醸造家でもあった。
吉田家は商品の販路の選択、商品輸送の便、原料費のコストダウンについて工夫を重ねながら、大正2年(1922)に野田醤油株式会社(キッコーマン)に経営権を売り渡すまで、醤油造りを続けた。
国土地理院から1961年の花野井の航空写真
吉田家は、乗合自動車や北総鉄道の開発などさまざまな分野に進出。柏駅前通商店街に「柏劇場」、昭和3年(1928年)には現在の豊四季台団地の地に柏競馬場・柏ゴルフ場もオープンさせた。
国土地理院から1975年の花野井の航空写真
柏市立花野井小学校は昭和57年(1982年)に開校。「柏ビレジ」は昭和55年(1980年)に販売を開始。
国土地理院から2008年の花野井の航空写真
その後、醸造場跡地は吉田家の新宅となり、南面の畑は平成8年に芝地に改められた。旧宅地・建物と芝地は平成16年に柏市に寄贈された。平成21年11月に歴史公園として開園。 その後、平成22年12月に国指定重要文化財に指定され、平成24年9月には庭園及び屋敷林などが旧吉田氏庭園として国登録記念物(名勝)に登録された。
「吉田記念テニス研修センター」は平成2年に障害者スポーツの環境を整えた施設で、吉田俊二氏、吉田宗弘氏の寄付によって設立された公益法人。リオデジャネイロ・パラリンピックの車いすテニス男子ダブルス3位決定戦で対戦した、国枝慎吾選手(32)、斎田悟司選手(44)ペアが、真田卓選手(31)、三木拓也選手(27)ペアはそれぞれ吉田記念テニス研修センターで技を磨いた選手たちだった。